『天使の声』には、「こうなって来ると何一ツ頼るものがないので無性に寂しくなり、そろそろ私の我も折れて来て以前とは反対に信仰に依って、神の助けを受けられるものなれば求めてみたいが、一向に神の御前に足を運ぶ勇気もなく、どうしても教会等へお詣りする気持ちにはなりませんでした。
その内にふとある宗教書を求めて読み始めたのであった。
これによってなんとか心の悩みを解決したいものと、仕事の余暇には読みふけってみたのであるが、されど余りにも高尚すぎて、今の私には思うた程気持ちの上には変化も起こらず遂には、くたびれた如くとなってしまったのである。
そうする内に何となく此の世に嫌気がさして来て、何時とはなしに、自殺の方法等もたえず考えたりする様になり、しかもその機会までねらっていたのです。(京都の疎水に二度自殺を図られるが失敗する)
不思議にもうまく決行出来ず仕方なく考え直したりしてる内に、矢張り真剣に神仏の御教えを求めてせいもあってか、月日を得るに従いどうにか解らんなりにも、何か心におのずと落ち着くものが出て来た様であった」
その信仰に至る迄の何か目に見えない神の導きの糸に引かれつつあった事が伺えるのです。
この様な心境にある時、不思議な霊人が現れるのです。