神は実在する

「神は実在する」前田孝師の本のタイトルです。師の想いを発信していきます。

大谷司完 伝 ー川見商店ー

真神の御用には「二つ魂の御用」と云うものがあって、一人の人物には必ずその人の代行が出来る様に別の人物が人知れず用意、準備されていまが、それは誰かは神様が伏せられてわかりません。

しかし、自分の替え魂は、ひょとすると彼かもしれないと思わされて修行する処に妙味があるのです。

早朝の神社参りにも、自然に競争相手が出て来ると云うのも、それに似たものを示されていたのでした。

後日談になりますが、学友に赤尾小太郎と云う人物は、同志社大学の神学部に入学して、キリスト教の牧師になる為に同じく京都に来ていたのですが、神様はよく「赤尾君に負けない様に励め」と彼の勉強の真剣さを引き合いに出されました。

後に村田栄三と云う人物が景介の弟弟子として入って来ます。技術の弟子だけでなく、信仰も弟子として景介を慕って来る事になりました。この人物が後の京都洋服商組合の理事長を務める事になるのでした。

京都の神社界とも取引がありました。

景介は洋服商ですが、普段着は和服を着て仕事をしてました。

北野天満宮に行った時です。宮司さんに「お前に言っておきたいことがある」と申されます。

「日本を悪くしたのは、三ツある。一ツは洗濯屋、一ツは散髪屋、そしてもう一ツは洋服屋である」と言って景介をジロッと見ると着物を着ているので「マアお前はよいがなぁ。しかし、実に変わった洋服屋じゃなー、着物を着て洋服の商売をしている」と言うので「ヘイ私の性分として着物の方が身に付いてまして仕事がやり易いのです」と答えて居られたそうでした。

和服にしろ洋服にしろ仕立て屋になると云うことは、より人物を養成する(仕立て上げる)為の相応の謎が秘められていて、日本の神様の申されるには、日本人ならば日本人らしく着物、即ち和服を好きになれと申されているのです。

同年度に入った他店の若者達とも、すぐに仲良しになり、休み時間には色々の事を話し合っていたのですがある日、景介の持っていた皇大神宮の御札を見て「お前はこんなものを信じているのか、馬鹿めと云うなり、それを取り上げて「神様なんてあるかい」と云うなり足で踏んでしまったのでした。

景介は「この男は恐ろしい事をする」と内心思っていたのですが、数日後にその男に会って見ると、禿頭病にかかって頭髪は1本も無くなっていたのでした。

「神が無い」と云ったので言葉通りに髪が無くなってしまったのでした。

神は目に見えないがチャンと一人一人の人生を見守って居るぞ、と云う証拠を見せられたのでした。

景介は、店での腕がよいので、店主は娘婿にとの話もあったのですが、それを断ったのでした。

それはある時、川見商店の前に立つと、店の前が大きな黒幕の張られているのを霊的に見せられたからでした。この様な事は、弘法大師も見られていて、家が何か傾いた様にみえる時、その家は潰れるそうなのです。