大谷司完先生にお目にかかったのは、当時私が22歳の頃でした。
大谷先生の居宅は、鳥居があるとか注連縄が張ってあるなどといった宗教的な雰囲気の漂う佇まいではなく、極々普通の民家でした。
よく見ると入り口に「天使の声頒布会ことしろ舎」と小さな表札が掛かっていました。
アポなしで訪問したにもかかわらず、快く会っていただきました。
「ようこそおいでやした」と挨拶されると次のようなお話をされました。
「信仰というものは誰でも自分で考え、自ら求めていったように思っておられるが実はそうではなくて、その背後に目に見えない神様のお導きがあってのことなのです。
人の霊魂にはそれぞれ因縁のある神様からのご配慮があって信仰するように仕向けられ、蔭からそっと引き寄せられているのです。
それは丁度首に縄を懸けられて引き寄せられているようなものであり、あなたもそのようにして神様から私のところに連れてこられたのです。」
これには正直驚きました。「なんでこの方は、日吉神社の神様のお願いしたことを知っているのか。今まで出会ったインチキ霊能者の類ではないかも知れない。」と心の中で思ったのでした。
また、次のようにも言われました。
「あなたが宗教家になろうと思っていなさるが、決して特別な人間にならなくてもよろしい」と。